共同親権はどんな制度? 改正案についてくわしく解説いたします
2024年3月8日、政府の閣議で、離婚後に未成年の子どもの親権を、夫婦で行使できる「共同親権」導入を柱とした改正案が、閣議決定されました。
改正案は同日中に国会へ提出され、今国会中に成立すれば、公布後2年以内に施行されます。
早ければ2026年にもはじまる共同親権制度。
共同親権とはどのような制度なのか、どのようなメリットや問題が指摘されているのか、くわしく解説いたします。
共同親権とは
共同親権は、未成年の子どもの親権を、父と母が共同で持つ制度です。
現在は、両輪が離婚する場合、父親もしくは母親のいずれかが親権を持つ、単独親権制度が採用されています。世界の多くの国が取り入れている共同親権制度が、いよいよ日本にも導入されるということで、関心を集めています。
共同親権の導入について、小泉龍司法務大臣が「子どもの利益のために組み立てられた改正案である」と会見しました。
未成年の子どもを持つ親が離婚した場合、共同親権にするのか、単独親権にするのか、意見が合わない場合は、家庭裁判所がもっとも「子の利益」になる形を決定するそうです。
共同親権を取り入れるメリット
共同親権制度を取り入れると、子どもや育てる親にメリットがあります。
どのような点が良くなるのか、チェックしてみましょう。
メリット1:親権争いをしなくて良い
これまでの制度では、両親の片方しか親権を持てなかったため、争いになるケースが多くありました。話し合いや調停では結論が出ず、裁判になったり、親でいるために離婚を諦め別居婚を選んだり、というケースもみられました。
今後、共同親権が認められると、このようなトラブルを軽減できます。親権を巡って離婚の話し合いがこじれているような場合、早期解決が期待できます。
メリット2:離婚しても夫婦で子育てできる
家庭の事情で離婚を選ぶけれど、子育てはこれまで通り、協力しながら進めたい、という夫婦もいます。このようなケースでは、共同親権を持つことで、お互いが親として変わらず関われます。
離婚で親権を失った後、子どもに会わせて貰えない、といったトラブルを耳にすることもありますが、共同親権であれば、その後も親でいられるため、当然の権利として子どもとの面会が可能です。
メリット3:家計の負担が減る場合がある
離婚して一人で子育てする場合、育児にかかるお金の負担が大きくなるケースがあります。
この負担を、共同親権にすることで減らせる場合があり、家庭によっては子育て環境が整いやすいでしょう。
離婚後も習い事を続けられる、私立に進学できる、衣食住が満たされた状態で暮らせるなど、単独親権では難しかった「子の利益」を確保できる可能性があります。
共同親権を選ぶデメリット
子の利益のための共同親権ですが、導入で考えられるデメリットもあります。
どのようなマイナス面が想像されるのか、合わせてみてみましょう。
デメリット1:両親の意見が合わない場合がある
共同親権で子どもを育てる場合、子どもの習い事や進学、就職、スポーツ、生活習慣など、あらゆる部分で意見が食い違う可能性があります。意見が割れた場合に、話し合いがきちんとできない場合、進路相談や就職活動などの大切な決定を、スムーズに進められない恐れがあります。
デメリット2:DVやモラハラが続く場合がある
離婚の理由がDVやモラハラだった場合、裁判所がDVや虐待を認めた場合は、単独親権となります。ですが、話し合いで離婚をする場合、裁判所に認められなかった場合、共同親権となるケースが考えられます。
この場合、面会拒否が基本的にできなくなるため、相手からのDVやモラハラ、虐待から逃れられない恐れがあります。
すでに離婚している人や再婚の場合はどうなる?
共同親権制度が導入される前に離婚を選び、親権者が決定している場合、自動で共同親権になることはありません。共同親権制度が施行されたあと、変更を求める場合は、家庭裁判所への申し立てが必要です。
この場合も、DVや虐待などで子どもの不利益が考えられる場合は認められず、単独親権となる予定です。
また、共同親権を持ついずれかの両親が再婚した場合、養子縁組の手続きをもって、再婚する親と養親が共同親権を持つようになる予定です。
子どもが15歳未満で、両親が共同親権を持っている場合、養親との共同親権について、父母の承諾が求められます。親権を失いたくない、再婚に不満がある、という場合は、家庭裁判所へ申し立て、判断を仰ぎます。
一度離婚した共同親権を持つ夫婦が再婚する場合は、養子縁組の手続きなく、再度二人で親権者となります。
まとめ
私たち探偵は、離婚問題に携わることが多い立場として、今回の共同親権導入へ深い関心を持っています。
共同親権のメリット・デメリットを把握しながら、ご相談者様が求める結果へ導けるように、弊社の専任弁護士の先生も交え、柔軟に対応させて頂ければと思います。
共同親権導入で、考えられるデメリットはありますが、DVや虐待、モラハラなどがあった場合、裁判所が認めれば単独親権を得られるなど、子どもを守るための要綱案が検討されています。
離婚後も子どもと関わっていきたい、と考えているものの、親権が得られず諦めてきた方、泣き寝入りされてきた方にとって、良いニュースになればと願っています。
参考サイト
Yahoo!ニュース/「子の利益」確保へ 共同親権を柱とした民法改正案を閣議決定
読売新聞オンライン/離婚後の「共同親権」導入の民法改正案を、衆院に提出…今国会成立なら26年度までに運用
あたらし法律事務所/共同親権とは|法改正はいつ?メリットとデメリット【2024年最新】
LegalSearch/離婚後の共同親権は認められる?共同親権の問題点やメリットとは
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